‘書評’ カテゴリーのアーカイブ

死神の精度

2008年3月26日 水曜日


死神の精度 (文春文庫 (い70-1))

お勧め度:★★★★☆

伊坂幸太郎の小説は初めて読みました。会社の先輩(もうすぐ上司)にいただいた(というか交換した)ので読んでみたんですが、まず、すごく読みやすい。単純な背景で登場人物が少ない短編小説だからかもしれないけれど、読んでいて止まってしまう部分はありませんでした。するする読めちゃう。それでいて、中身もちゃんとある話。

金城武主演で映画化されたみたいですが、映画館に見に行ってもいいかもしれません。小西真奈美も出ていますし。

ちょっと狙いすぎかなと思いましたが、きれいにオチもついていて読後感がすっきりする小説でした。

地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」

2008年1月29日 火曜日

地頭力を鍛える

地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」

お勧め度:★★★★★

久しぶりに書評を書いてみます。

小さい頃から天才に憧れ続けているのですが、そもそも頭がいいってどういうことなのかよくわかっていませんでした。そのモヤモヤを「地頭力」として明確に定義し、鍛える方法を提示しているのがこの本です。

著作中で地頭力とは、

  • 仮説思考力
  • フレームワーク思考力
  • 抽象化思考力

の3つの要素からなると説明しています。

細かい説明は本を読んでもらうとして、昔からぼんやりと考えてきたことに対して、一つの答えをはっきりと見せてくれたことで、この本を読んで良かったと素直に思えました。そして、頭がよくなるためにはどうすればいいのかということも少し理解できました。これを着実に実践していくだけで(そこが難しいわけですが)、天才に近づけるというわけです。

実はこの本、「Think!」という雑誌に掲載されたコラムから本になったものです。この雑誌もお勧めです。

右翼と左翼

2007年9月13日 木曜日

右翼と左翼

右翼と左翼 (幻冬舎新書)

お勧め度:★★★★☆

小学校とか中学校とかで学べなかったことに非常に興味があります。思想に関しては、なぜかタブー視されている(?)ので全然わかっていませんでした。というわけで、入門がてら、読んでみました。

そもそも右翼とか左翼という言葉がフランス革命の議会(ベルサイユのばらの時代)から始まったという話から始まるのですが、このあたりの説明が非常にわかりやすい。なので、右左の思想の根底としている考え方を理解できました。フランスから世界に渡り、戦後、戦前の日本におけるその思想がどのような考え方を持っていたのかという流れも非常にわかりやすく勉強になりました。

基本が学べたということで、読んで良かった本です。しかし、今の右と左の考え方が非常に複雑で、私がどっち寄りなのかを判断できなかったので(というか、おそらくある意味右である意味左なんですが・・・)、ちょっと物足りないかなと思いました。

右翼思想と左翼思想についての基本を知りたいという方が入門に読むにはうってつけの本です。

PLANNING HACKS!

2007年8月29日 水曜日

PLAGGNING HACKS!

PLANNING HACKS!

お勧め度:★★★★☆

「企画の本」と謳っていますが、実際は「企画」のみならず、作業全般に使えるものが多い仕事tips集でした。tips集とは言え、最終的にはプレゼンをアウトプットの形として、読みやすい流れが作られています。

今の会社にいると、プレゼンを行う機会が少ないためか、ちょっと前に勉強会を開いたときに、我ながら最悪な流れを作ってしまいました。学生のころの方がまだましだった気がします。そこで、この本に乗っ取って次回は基本的なことを踏まえたプレゼンを行おうと思います。

企画の本を読むと思うのですが、10のことを10見せるということが、非常に難しいんだなと感じます。技術をもっと学ばないとならない身ですが、並行して学んでいかなくてはならない分野ですね。

気まぐれコンセプトクロニクル

2007年8月28日 火曜日

気まぐれコンセプト クロニクル

気まぐれコンセプト クロニクル

お勧め度:★★★★☆

漫画週刊誌は、スピリッツとモーニングを買っているのですが、スピリッツの中で私がもっとも好きな4コマ漫画です。

広告業界を舞台に、時事ネタを中心にした漫画なのですが、「私をスキーに連れてって」などで有名なホイチョイプロダクションが作っているので、段違いなハズレネタはほとんどありません。これは4コマ漫画じゃ珍しいのではないかと思います。「つるピカハゲ丸」とは違います。

しかし、この本は、並の漫画じゃありません。4コマ漫画のくせに1000ページ近いのです。辞書より重く、そしてシュールな内容が延々と続くので、これを一気に読むということは、「修行」と言わざるをえません。1984年の時事ネタからあるので、ゆっくり1ヶ月くらい書けて読むことをお薦めします。

企画の教科書

2007年8月21日 火曜日

企画の教科書

企画の教科書 おちまさとプロデュース

お勧め度:★★★☆☆

このBlogの書評は、アフェリエイト目的ではなく、ただ読んだだけにすると、記憶からすぐに飛ぶので、ほんとにちょっとしたWebログなわけです。BlogはWebログの略なのです。なんて懐かしすぎる表現ですね。と、いいつつお勧め度をつけるのは、ちょっとした下心。

ってわけで、今日は企画の教科書を読みました。

私は新米エンジニアなのですが、回りの人達がどういう仕事をしているかを知っておくのは重要だと思っています。企画屋さんとかCSさんとか。CSについては、学生時代にかなり長くアルバイトをしていたのですが、企画というのはまったく経験がありません。というわけで教科書を読んでみました。

しかし、これは、おちまさとの本なのです。なので、基本を理解するとともに、より良い企画を捻出する方法まで学べてしまいます。付加価値をつけるのはさすがだと思います。ただし、内容はアイデアマラソンとか思考の整理学と同じような感じでした。結局人間はゼロから何かをつくり出すのは苦手なので、種から花を育てるように、アイデアの元を発展させて企画を作ろうということでした。

この本は、多読には向かない構成(注釈が多い)ため、お勧め度を低くしました。

富江

2007年8月21日 火曜日

富江

富江 – The complete comics of Tomie

お勧め度:★★★★★

何度も映画化されています。映画の歴代の富江役は、

  • 菅野美穂
  • 宝生舞
  • 酒井美紀
  • 安藤希

と、ちょっと納得できませんが、漫画の面白さはハンパないです。

お菊さんから、貞子まで、恐い女はホラーの中心にいるのが常ですが、富江もそのルールに乗っ取っています。しかし、富江には一風変わった設定があるのです。異常なほどに美しい女性に見せられた男たちが、富江を殺し、新たな富江が生まれる。そうやってどんどん増殖してしまうのです。

伊藤潤二の漫画を読むといつもそうなのですが、ホラーなのにシュールさを追い求めすぎたような内容になっており、にもかかわらず、気づいたら必ずはまってしまっています。同じことを感じる人が多いからか、映画化が非常に多いのも特徴です。しかし、映画が成功した例を私は知りません。少なくとも私が見た映画はB級にもなれてませんでした。漫画でないともったいない作品ばかりなのです。

Yahoo!コミックでも読めるので読んでみてください。

繋がれた明日

2007年8月20日 月曜日

繋がれた明日

繋がれた明日 (朝日文庫)

お勧め度:★★★★☆

小説書評は初。小説は、細かい心理描写にこそ意味があるので、レバレッジ・リーディングの読み方は適用できず、時間がかかります。しかし、自分の人生の延長でも経験できないようなことを疑似体験できるので、面白いのです。

この小説は、映画にもなったホワイトアウトの作者である真保 裕一が書いた本らしいです(ホワイトアウトは見てませんが)。映画化される小説を書く人なので、ある程度は面白いんだろうなと思いながら読んでいたのですが、期待以上でした。

思ってもいなかったところで殺人を犯した若者が、刑務所から出てきたあとの生活が本当に元に戻るのか。人を殺して6年という刑期は短いのかどうか。主人公は仮釈放されてからも、社会から見えない刑を受けつつ、少しずつ成長していきます。あまりにも短期間で成長しすぎなところが現実離れしていましたが、最後まで暗すぎないで読み終えたのが非常によかったです。

ゲームニクスとは何か

2007年8月16日 木曜日

ゲームニクスとは何か

ゲームニクスとは何か – 日本発、世界基準のものづくり法則 (幻冬舎新書 さ 3-1)

お勧め度:★★☆☆☆

ゲームニクスという言葉は著者であるサイトウ・アキヒロ氏が考え出した言葉です。ゲームの素晴らしさを体系立てることによって、学問とし、なぜ世の中の人が「はまる」のかを科学した結果が「ゲームニクス」という言葉だそうです。

ゲームというのは人を熱中させることにたいして異常に強い力をもっているというのは、客観的に考えても正しいことはわかると思います。そういったゲームの特徴を、「結果」から分析し、理論的に体系化させるというのは、次のヒット商品を作るときにも非常に役立つということはわかると思います。この本の68ページにその体系化されたものの概要図が書かれています。この図は、ゲーム業界でなくても、商品を作る人達にとっては、非常に有益なものであることは間違いありません。そういう意味では、この本は一見の価値があると思います。

しかしながら、著者はmixiやgoogle、そしてiPodまでもがゲームニクスに基づいているから、ヒットしているのだと半ば宗教じみた展開を見せてしまいます。本中に何度も出てくるDSに関しては、どれだけ売れているかという数字を持ってきます。

2007年度中には国内で2000万台の出荷は確実でしょう。
2000万台という数字はスケールが大きすぎて、今ひとつピンと来ないかもしれません。そこで携帯電話の普及台数と比較してみましょう。
総務省の発表によると、携帯電話の総加入者件数が、2007年3月末で約1億人となりました。ということは、なんとDSはそれだけで、日本の総携帯電話人口の5分の1にあたる出荷が記録されることになります!

携帯電話の総加入者数とDSの出荷台数を比べ、「DSはゲームニクス的に優れたUI(つまり良いUED)を持っている。DSは売れた。つまりゲームニクス的に優れているものは売れる」という持論をつなげるのですが、携帯電話の総加入者数とDSの出荷台数を単純に比較していることが、論理の流れを止めてしまい、眉唾理論に聞こえてしまいます。

また、DSは「お年寄にも使えるUI」ということでほめているのですが、スーパーマリオを得意気に遊ぶおじいさんを私は見たことがありません。むしろ、難しくてわからないと言うでしょう。しかしこの本では、スーパーマリオは、説明書を見なくても遊べるとほめちぎっています。理解ができません。そもそも、ゲームニクスでは、何が重要視され、何が軽視されても問題ないのかについて全く言及がありませんでした。著者にとっては明確な区切りがあるとは思うのですが、読者にとって、少なくとも私にはさっぱりわかりませんでした。強引にあとづけしたものにしか見えませんでした。

商品そのもの以外にも、人に面白いと思わせるためには工夫する点がいっぱいある、という主張には100%賛成しますし、68ページの図を見るだけでも777円の価値はあると思います。ただ、やはり私は、個人的にはこの本は好きになれませんでした。

生物と無生物のあいだ

2007年8月14日 火曜日

生物と無生物の間

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書 1891)

お勧め度:★★★★☆

生命とは何か?それは自己複製を行うシステムである。

高校1年の4月、私の高校の生物の先生は、「『Biology』という単語は『Bios』という美の神と『Logos』という学問の神を併せて作ったこと場なんだ。どうだ、すごいだろ?」と仰っていたのを今でも覚えています。先生は、自己複製の実例を説明するためにAVを講義に用いた(私のの学年のときはありませんでしたが)、最新の状況を教えるために「Nature」という科学雑誌を講義やテストに用いたりしました。英語よりも難しい英語のテストには驚きましたが、生物に対して興味を覚えるきっかけにはなったと思います。

ところで、DNAが遺伝子であり、遺伝子は体の要素を作るということは、中学生でも知っていることだと思うのですが、学者たちはこれらをどのようにして発見してきたか。そして、その発見をどのようにして確かめてきたかということを、この本の中では、物語風に語りつつ、現在の分子生物学の様子もなんとなくわかるようになっています。その途中で、自己複製では説明できない生命の不思議についても理解できるようになっています。

私は、大学のころBioinfomaticsという分野で卒論を書いたのですが、この分野のおかげで、本の中盤から扱う情報量が爆発的に増えていると感じました。著者は完全にWetな研究者なので、Bioinfomaticsについてはほとんどふれていませんが、情報系エンジニアとして読み進めると、コンピュータがここでも活躍していると感じられると思います。

非常に興味深い分野にもかかわらず、入りづらい分野の学問ということにもかかわらず、わかりやすい文章で一気に読み進められます。しかも分子生物学についての知識もつきます。興味がある方には是非お勧めです。